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伏魔殿より愛をこめて

~ 『熾天使長閣下の華麗なる業務日誌』 ~

2008年08月の記事

誓いの夜

目が覚めると、そこは地下鉄御堂筋線の終着駅・「なかもず」駅だった。

「天王寺」駅を過ぎたところまでの記憶はある。
それから「昭和町」駅までの間に、眠ってしまったのだろう。

私の家の最寄駅は「あびこ」駅。 つまりは乗り過ごしてしまった、というワケだ。
残念なことに、「梅田」駅方面行きの最終電車は既に発ってしまっていた。

駅を乗り過ごした経験は、これで2回目。
1回目の場合もやはり乗車中に眠りこけてしまい、気がつくと「なかもず」駅だった。
なんとも間抜けな話である。 しかしながら、それもむべなるかな。
極限まで疲労が溜まった身体には、電車の心地よい揺れは、まるで揺籃のそれと同じなのだ。


電車を乗り過ごしたときは、私は決まって家まで歩いて帰ることにしている。
「なかもず」駅から「あびこ」駅までは、間に駅を2つ挟んだ3区間。 歩けない距離ではない。
タクシーを使うような身分ではないし、そんな金銭的余裕もない。
それに私は、こうして真夜中の街を歩くことが決して嫌いではなかった。

ひとり昏い世界を歩いていると、いろいろなことを考える。
その日あった楽しいこと、悲しいこと。 家に着いたらまず何をするか。 明日の予定はどうしようか。
そうして、さまざまなことに思いを巡らせるのだが、最後にはいつも決まって“不安”に襲われる。

過去のこと。 いま現在のこと。 そして未来のこと。


自慢ではないが、私はいままで「大きな挫折」というものを経験したことがない。
人生の節目、節目では必ずきっちりと帳尻を合わせてきた。 「失敗しない」ことが誇りだった。
いつまでうまく進むかは分からない。 ある日突然ポッキリと折れてしまうかもしれない。
もしそうなった時に、自分はその絶望に耐えられるだろうか。


ふと見上げると、そこには群青色のベルベットのような空が広がっていた。
夜中の1時を過ぎているというのに、遠くにはうっすらと雲が見える。
「あびこ大橋」から眺める空は、月並みな感想だけれども、綺麗で、感動的で暫く足を止めてしまった。

暗いようで明るい世界。 見えないようで見える世界。
それはひとつの「誓い」だった。


歩み続けよう。 歩みを止めず足を動かし続ければ、いつか必ず目的地に着くことができる。
立ち止まってしまったら、絶対に辿り着くことはできない。
目的地は、決して向こう側からこちら側に近づいてきたりはしないのだから。

もうすぐ闘いが始まる。
大丈夫。 いままでだって負けずにやってきた。

今度だって絶対に勝利してみせる。
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