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伏魔殿より愛をこめて

~ 『熾天使長閣下の華麗なる業務日誌』 ~

2011年02月の記事

PERFECT DESIRE(後編)

現実の人間に絶望した古代キプロスの王・ピグマリオンは、
あるとき自らの理想の女性を彫刻しようと思い立つ。
制作が進むにつれて、次第に自身の作品に恋心を抱くピグマリオン。
「もしも、彫刻が生命を得て動き出したなら」――彼は、彫刻が人間となることを神に願った。
美の女神・アフロディーテは彼の一途な願いを聞き届け、石像に生命を吹き入れた。

人間となった彫刻――ピグマリオンが夢想した“完璧な願望”。
その名は、ガラテア。


りおんは、サラマンダー・シンドロームの感染者である。
これは本人も自覚しているし、周知の事実だ。
実際、彼女が両親と離別するに至った原因でもある。
しかしながら、同時に彼女は“もうひとつ別のシンドローム”の感染者でもあった。
ウィルスはりおんの潜在意識で眠り続けた。
彼女に自覚させることも、周囲に知覚させることもないままに。

りおんは、根暗な自分の性格が嫌いだった。 「もっと、快活で明るい性格になれたなら」
りおんは、孤独が嫌いだった。 「もっと、皆から慕われる人間になれたなら」
りおんは、上手に力を扱えない自分が嫌いだった。「もっと自らの異能と向き合えたなら」
りおんは、何の取り得もない自分が嫌いだった。

もっと、もっと、もっと!

りおんの衝動に、彼女のなかで眠っていたウィルスが――
ブラム=ストーカー・シンドロームが応えた。

りおんは無意識のうちに、一体の《血の従者》を作り出していた。
通常、従者は自我も知能も持たない。 ただ、主人が下す命令に忠実に従うだけだ。
だが、りおんが作り出した従者は違う。
主人の無意識が生んだ従者は意識をもつ――自我を有する従者。
主人と同じ容姿をもち、主人の願望を忠実に表す人の形。

りおんが無自覚に作り出した、自律行動を行う血の従者――それがガラテアの正体である。
ピグマリオンがガラテアを彫刻したように、りおんは自身の知らぬ間に
自らの“完璧な願望”を作り出したのだ。


ガラテアは強い。
サラマンダーとブラム=ストーカー、2つのシンドロームの力を自在に操ることができる。
その力に目をつけたFHは、彼女をセルリーダーとして迎え入れることを決定した。
しかしながら、強大な力をもつガラテアにも、ひとつ致命的な弱点があった。

いかに自我をもつ血の従者という特殊な存在とはいえ、
従者である限りは決して「主人との繋がり」を断つことはできない。
すなわち、主人であるりおんが(何らかの理由により)死亡すれば、
ガラテアもまた消滅するということだ。
“自身の心臓をUGNが手元に置いている”
これはガラテアにとっては言い知れぬ恐怖であった。

主人を――高嶺 りおんを拉致し、暗闇の世界に一生幽閉してしまおう。

光の当たる“表舞台”に出るのは、ガラテアだけでいい。
気に病むことは何もない。 りおんはもともと“裏舞台”の住人ではないか。
彼女は、霧谷の気まぐれで暗い闇の世界から引きずり出され、
高校生という茶番を演じさせられているのだ。
適材適所――これは、りおんを「もとの世界」に戻してやるだけだ。 
りおんもそれを望んでいるだろう。

こうして、ガラテアは春日 恭二らFHエージェントを率いてF市にやって来た。


以上が今回のシナリオの内容である。
「無意識に作り出した血の従者が、自我をもち、主人に危害を加えようとしている」という話。
ドッペルゲンガーのようで、ちょっとホラー風味(*´ω`*)

最初のプロット、というかシナリオの切欠は
「僕の彼女が、実は血の従者でした」というワンフレーズである。
それを捏ねくり回しているうちに、今回のようなシリアルな話になってしまった。

久しぶりに『ダブルクロス』をやったが、
やはり現代ステージよりも平安京ステージのほうがやり易いかな。
次は、「平安京物怪録」を導入して伝奇風味なシナリオを作ろう。
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